トップページ > 「医師転職時代」の医師のマナー/医師の転職時のマナー「一旦、返事をしたら撤回しないこと」

病院が医者を選ぴ、患者が医者を選ぶ時代に入ります。正にチーム医療の時代です。実力のない医師やコメデイカルとうまくやっていくことのできない協調性に欠ける医師は冷遇されてしまう時代に入ることは間違いありません。
医師たる者、自分の責任において自分を磨き、自分を売り込めるだけの実力を身につけておくべきです。当サイトでは随所に実例を挙げながら医師が日常の仕事をして行く上でのマナーを解説していきます。
(シニア医師)

「医師転職時代」の医師のマナー

  • 医師の転職時のマナー
    「一旦、返事をしたら撤回しないこと」

雇用者として、私は一度煮え湯を飲まされたことがあります。

内科医を急募したところ、どこからかその旨を聞きつけた知人が、自分の義息、つまり娘婿が今度大学をやめてこちらへ帰り、同じ敷地内に住むことになった、ついては就職先もこの近くにと願っていたところ、貴院で内科医を求めていることを聞き及んだ、是非本人に会って欲しい、云々の電話をかけて寄越しました。

こちらも渡りに船と飛びつきました。ある趣味の会で時々顔を合わせ、私よりはるか年長ですが腰の低い好人物との印象を受けていましたから、その義理の息子ならこの話は固い、と考えました。

ほどなく本人から電話が入り、会ってみると、なかなかの好人物に見えました。少しひっかかったのは、まだ若いのに週休2日にして欲しい、と、その一点を強く主張したことくらいです。何故かと尋ねても、具体的に何と答えません。ちょっと凝っていることがあり、そちらに時間を注ぎたいからだと言葉を濁します。常勤医の勤務は週5日半が原則で、週2日の休みは特例となりますが、その分給料は下げることで折り合いがつきました。

かくして彼の就職は内定、こちらはその準備にとりかかって、それこそ印鑑から何から何まで整え、数日後には外来にも掲示を出す段取りを終えた正にその時、電話がかかりました。

「申し訳ないですけど、そちらに行けなくなりました。」

赴任予定日に10日と迫ったところです。唖然として、一瞬返す言葉を失いました。

「どうしてです?何故また今頃になって?こちらはもうすべて準備万端整えちゃったんですよ。」「ええ。申し訳ないです。でも、どうしても・・・。」

理由は言いません。二股をかけているなど、これまで二、三度やりとりしましたが、おくびにもそんな気配は見せなかったので、これは正に寝耳に水、不意打ちを食らったようなものです。

「もうすっかりお膳立てを整えて先生の赴任を皆で楽しみに待ち構えていたんですよ。」

私の抗弁も、どうやら余りこたえていないらしいです。約束を裏切って本当に心苦しい、恥じ入っている、という思いが伝わってきません。

「どこか他に、いい所があったんですか?」

そうとしか考えられないから、我ながら未練たらしいとは思いながら、諦め切れず詰問に及びます。

「いや、そういうわけでも・・・」と、これまた言葉を濁します。

「おんどりゃあー、そういう不義理なことをして、二度と俺の前に顔を出すなっ!」

こんな啖呵が喉元まで出かかりましたが、かろうじて押し戻しました。

「じゃ、そういうことで・・・」

相手はもう完全に逃げ腰です。追っても仕方がないし、理を諭しても無駄でしょう。諦めることにしましたが、腹の虫はおさまりません。

義父からは当然詫びの一言でも聞けると思いましたが、これまた何の音沙汰もありません。さすがに腹にすえかねて一筆認めました。赴任するものと信じたからこそ急いで準備万端整えた、それに要した手間暇、費用は軽んぜらるものではない、あなたの娘婿のこの非礼をいかに思われるか、誠意 ある回答を求む、と。

だが、待てど暮らせど「誠意ある回答」は返ってきません。隔月の趣味の会にもバッタリ顔を出さなくなりました。親子揃ってのこの無礼さにはただただ呆れ返るほかありませんでした。

ほどなく、聞き捨てならぬ噂が耳に聞こえてきました。件の男が、私の病院からほど経ぬ某総合病院に勤めている、というのです。その真偽をあえて確かめる気にはなれませんでしが、「火のない所に煙は立た ぬ」多分真実なのだろうと思いました。

何のことはない、チャッカリ二股をかけていたのです。その総合病院は私共の病院が建つ時、相当あくどい噂を流して妨害にかかったいきさつがあり、晴れて開院後もしきりに流言飛語を飛ばしていたようです。

いわば、ハナからこちらに敵対意識をもっている病院で、かの内科医が私共の病院にもアプライしていることを聞き出し、取られてなるものかと、法外な好条件を呈示したのかも知れません。

いずれにしても、この君の取った行動は、医師として、人間としてのマナーに甚しく欠けるもので、将来万が一彼が私に助けを求めてきたとしても、門前払いを食わせるでしょう。

無論、どんなに内科医が欲しくても、彼に声をかけることは二度とありません。

<続く>

(シニア医師)

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